小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
どこまでも続く広い森。
しんとした森の中に、ぽきりと弱々しい枝の音が何度も響く。
「――あ。何か聞こえなかった?」
しばらくして、ライラが不意に尋ねる。
「何か?」
すかさず聞き返す、燕紅。
「うん。えーと……上から誰かが落ちてきたせいで倒れたような、音?」
「拙者は特に聞こえなかったですが……」
聞こえていたのかもしれないが、どうもこう、会話もないままでボーッとしていて、聞こえるものも聞き取れていないのだ。
思い当たる節も無いのか、燕紅がちらりと視線をシルビィに向けると、
「シルビィも。ライラちゃん、ひょっとしたら結構疲れてるんじゃないかな?」
「そ、そんなことはないけど……」
燕紅と同意したシルビィが苦笑して見上げるのを、ライラは戸惑いがちに否定する。
しかしシルビィはライラのそれを見ず、そのまま燕紅に向き直ると、
「とりあえずもう少し歩いてみようよ。そのうち森もおわるかもしれないし」
そう言って燕紅を引き連れると、また今まで通りに歩き始める。
「……んー」
ただライラだけが立ち止まり、心残りがあるように向こう――西のほうを見つめる。
見えるのは木……ばかり、なのだが。
「――あっちから聞こえた気がしたんだけど、気のせいだったのかな?」
しんとした森の中に、ぽきりと弱々しい枝の音が何度も響く。
「――あ。何か聞こえなかった?」
しばらくして、ライラが不意に尋ねる。
「何か?」
すかさず聞き返す、燕紅。
「うん。えーと……上から誰かが落ちてきたせいで倒れたような、音?」
「拙者は特に聞こえなかったですが……」
聞こえていたのかもしれないが、どうもこう、会話もないままでボーッとしていて、聞こえるものも聞き取れていないのだ。
思い当たる節も無いのか、燕紅がちらりと視線をシルビィに向けると、
「シルビィも。ライラちゃん、ひょっとしたら結構疲れてるんじゃないかな?」
「そ、そんなことはないけど……」
燕紅と同意したシルビィが苦笑して見上げるのを、ライラは戸惑いがちに否定する。
しかしシルビィはライラのそれを見ず、そのまま燕紅に向き直ると、
「とりあえずもう少し歩いてみようよ。そのうち森もおわるかもしれないし」
そう言って燕紅を引き連れると、また今まで通りに歩き始める。
「……んー」
ただライラだけが立ち止まり、心残りがあるように向こう――西のほうを見つめる。
見えるのは木……ばかり、なのだが。
「――あっちから聞こえた気がしたんだけど、気のせいだったのかな?」
「――ったく。あいつどこ行きやがったんだよ」
見送りから戻り部屋に帰った頃にはすでに部屋はもぬけの殻。
床の間にあった名刀「闇姫」が無いことから、鬼月陰から出たのだろうと楽に推測はできるが。
相変わらずなんてマイペースな奴だろうかと思い、カンフィスは放りっぱなしにされた依頼で散らかった床を見下ろした。
「おーい舞夢? ……って、カンじゃないかい」
「あ? んだよテメー仕事行ったんじゃなかったのかよ」
部屋の外から顔を覗かせたファイに仏頂面で振り向く。
それをファイはお構い無しとしたように一通り部屋を見回すと、
「な、舞夢は?」
と訊いた。
「知るか。俺が来たらもうどっか行っちまった後だった」
「へー……」
別に期待はしていなかったかのようにファイが相槌をうてば、カンフィスの方は散乱した依頼を片付けにかかっている。
こいつは迷子捜しなんてやらないだろうな。
とファイが心の中でのみぼやく。
「なあなあカン、ライラ知らねー?」
そうそう、と手をたたき、迫るようにカンフィスに詰め寄る。
しかし当のカンフィスは、
「知らね」
と、整理の手を止めず即答。
それにより確実にファイの気が立ち。
「はあ?あんたんな適当に」
「仕方ねーだろ。大体ライラなら今日は鬼月陰に――」
「だから鬼月陰にいないから訊いてんじゃないか」
「――はァ?いない?」
見送りから戻り部屋に帰った頃にはすでに部屋はもぬけの殻。
床の間にあった名刀「闇姫」が無いことから、鬼月陰から出たのだろうと楽に推測はできるが。
相変わらずなんてマイペースな奴だろうかと思い、カンフィスは放りっぱなしにされた依頼で散らかった床を見下ろした。
「おーい舞夢? ……って、カンじゃないかい」
「あ? んだよテメー仕事行ったんじゃなかったのかよ」
部屋の外から顔を覗かせたファイに仏頂面で振り向く。
それをファイはお構い無しとしたように一通り部屋を見回すと、
「な、舞夢は?」
と訊いた。
「知るか。俺が来たらもうどっか行っちまった後だった」
「へー……」
別に期待はしていなかったかのようにファイが相槌をうてば、カンフィスの方は散乱した依頼を片付けにかかっている。
こいつは迷子捜しなんてやらないだろうな。
とファイが心の中でのみぼやく。
「なあなあカン、ライラ知らねー?」
そうそう、と手をたたき、迫るようにカンフィスに詰め寄る。
しかし当のカンフィスは、
「知らね」
と、整理の手を止めず即答。
それにより確実にファイの気が立ち。
「はあ?あんたんな適当に」
「仕方ねーだろ。大体ライラなら今日は鬼月陰に――」
「だから鬼月陰にいないから訊いてんじゃないか」
「――はァ?いない?」