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小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
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「・・・何?俺に用でもあるんですか♪」


ある昼下り。咲羽は目前の者にニッコリ微笑む。
今日は依頼の仕事も休み、基地でやることも無くいたのだが、同じく休みであった猫の視線が妙に気になる。
どうも何かこちらに訊きたげにも見えるのだから、咲羽はちょっと尋ねてみたのだが、
「ん~?別に。何もあらへんよ」
返ってきたのは気楽でのんきな短い言葉。
あ、そう。と咲羽も単調に返事して、会話も続かず終わるかと思われてしまったが、

「そういやぁ」
猫がふっと、思い出したように呟く。
いかにも独り言のようなそれはどうやら咲羽に対する言葉のようで、咲羽も欠伸を抑えて耳を澄ます。
「前から気になってたんやけど・・・咲羽君のネコのイメージってどんなんなん?」
ほら、咲羽君元々人間やし、ネコやて知ってるやろ。
と猫は笑って言う。
確かに咲羽は純粋なチルタリスではない、元人間。
それは猫にも言えることだが。
もとがネコである猫にとって、とても身近な人間――つまりは咲羽が自分たちのことをどう思っているかというものは、やはり気になるものなのだろう。
「・・・あー・・・」
しかし、咲羽は一度笑顔を崩す。
どこか心の奥で悩んでいるようにも見えるその様子。
それに猫も一瞬首を傾げるが、
「・・・あ!い、いいんやで別に!?ネコ嫌いとか、そんなん俺気にしやへんし!!」
なるほど、咲羽は普段猫とも上手くやっているが、確かに本当はネコ自体嫌いだ・・・という事だってあるわけで。
その事に気が付いた猫は慌てて言い訳の様に騒ぎ立てる。
「違うって。俺そんなことだったらフツーに言うし♪」
咲羽は再度ニッコリ――悪戯めかして笑う。
まぁ実際はそのほうが傷付くだろうが、猫もそんなことは気にならなかったよう。
なんやぁ。と安心した様に息をつく猫を見やり、咲羽がまた微笑む――どちらかといえば苦笑に近かったかもしれない。


「だって俺、人間の時外に出た回数なんて数えるくらいしかなかったんだし?」


安心するのも束の間、
「・・・え?」
咲羽の答えに戸惑いを、信じられないと言いたげな表情を見せる猫。
それを見て、予想していたと言わんばかりに咲羽が口開く。

「想像つかないかもしれないけどさ・・・俺、身体が弱かったんだよ。オマケに足が動かなかったから、外に出たくたって無理・・・ってワケ♪
だからネコだって写真か映像で見るくらい。だからよく分かんないんだよね♪」

咲羽は軽く言ってのける。どこまでも軽い調子で唐突だと言うことは猫も承知の上だがあまりに重大なそれに今回ばかりは本当に言葉が出ない。
しかし、ぽかんとしている猫に再度顔を向ける咲羽。
「だから猫さんの質問に答えられなくて止まってただけ、気にしないでよ?」
「ええ?いや、気にしやんといてっつっても・・・」
咲羽はニコニコとそう言うが、内容はそう軽いものでは無い筈。
猫もそれだけ気掛かりなようで苦笑混じりに顔を歪ませる。
言葉が出せなくて戸惑うそこで、咲羽はまた、ふぅっと息をつく。
「いいじゃん?今はこうやって騒げるくらいだし、喧嘩だって参加できる♪
現に猫さんより強さは上だしv大丈夫だしさ」
「・・・まぁ、そんな言うんならいいけど・・・」
猫はまだ気掛かりなようで、少々無理に納得した感じになってしまうも、そこでその話は――ほぼ咲羽で始まり咲羽で閉められる。
そうして猫の脳裏でそのことが残り気にはなるのだが、咲羽はまた小さく笑うだけでそれ以上何も教えようとはせず。


「だからさ、また教えてよ♪猫さんから見た『人間』をv」



ニコニコと微笑む咲羽の裏で、その言葉がどうも重みを帯びている気がして。

心のどこかで無理している気がして、しばらく猫には咲羽の笑顔が信じられなくなってしまった。





――――――――――――――――――――

■咲羽(チルタリス♂)
■猫(エネコロロ♂)

 

 

 

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