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小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
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「花が欲しい」
「花?」
「ああ」

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「好きです」

絞り出したような声だった。


そこは街のはずれの荒れ地だった。
いつもなら疎であるはずその場所に今、群衆ができている。
彼らは円形に、何かを取り囲んでいた。



中心で、大玉に乗ったイーブイが歓声を浴びている。その場で器用に片手で立ってみせたり、額にボールをいくつも積み上げたまま静止したり……巧みに技を魅せるたび辺りから感嘆の声がもれる。

仮面をまとってはいるが、その身から明らかにまだ子供だと見て取れる。
何よりも、普通のイーブイと比べて異様だった。
珍しい色をしている、彼は色ちがいだった。
その透き通る白銀が客の目を奪う。

快技の終局、しゃりん、と円心で鈴が鳴った。
白銀のイーブイが地を蹴ったのだ。
高く跳ねると、小さな体はくるりとひとつ宙で孤を描いた。
ふたつめが回り、みっつめの後に降下する、重力のまま落ちてゆく途中くるりとよっつめをかました。
タンっ、と軽快なステップで白銀が着地したのを合図に、わっと声が上がる。
白銀がヒラリと身を翻す。
にっこり、無表情の仮面はそのままに、露な口元が笑みをたたえた。

どっと歓声が沸いた。
拍手が起きたのが方々から発せられる。
褒め言葉が飛び交う。

白銀は笑みと無言を崩すことなく観衆へ一礼した。

よく晴れた朝のことだった。



朝方しとしとと降り続けていた雨が止み、だいぶ上空に滞在していた灰色の雲はようやくどこかへ去っていった。
顔を出した太陽の色は鮮やかな黄色、時は夕方である。
地面も植物もまだ雨の後が残り、空気は雨の匂いを含んでいる。
青空に、燦々と太陽が輝いていた。
きらきらとした光は、ひとつの探検隊基地にも差し込み──
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