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小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
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――出られないの。




あたしはただ外に出たいだけ。
緑の広がる外へ、青に包まれた外へ、出たいだけ。
自分の足でその大地を踏みしめたいだけ。
自分の目で大きく空を仰ぎたいだけ。



(それは窓越しでも十分でしょう)

あたしはその窓が憎いの。あの透明の板が邪魔なの。

(なら、庭へ出なさい。そうすれば外を歩けます)

あたしは自然の大地を歩きたいの。
手が加えられて整った庭なんて自然じゃないわ。

(空は庭園からも見えるではありませんか)

だってあの空は、あたしが望んでいる空じゃないもの。
あたしはね、“外の空”を仰ぎたいの。


窓越しに見える街。
賑やかに行き交う住民。
少し奥には深い森が広がって、そこを抜けると海へ出る。
水平線の彼方に浮かぶ大きな雲が嘘のように真っ白で、そのさらに上でぎらぎらと暑い太陽が輝いてる。

あたしもあそこへ行きたい。
だって皆楽しそうなの。
何故楽しいのかはあたしには何も理解できないわ。
けれど、楽しそう。
遠くて全然顔は見えないけれど、あれは絶対笑ってるもの。


(あなたは、辛いのですか?)

いいえ、あたしは幸せよ?

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