小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
(助けてくれた咲羽とその姉だという舞羽。彼らに連れられて行った先で――)
「あー!!やっと見つけたんだからッ!!」
そんな声を上げて、ピジョンが咲羽に駆け寄る。
その後ろにクサリとラナが見えた。
ピジョンとその背後の二人を見やり、一番に咲羽は声を出す。
「あ、舞羽。何、俺この人たちが不良に絡まれてたの助けてたんだけど……てか、誰?」
「んなのどうだっていいって!!早くしないとクビャクさんを待たせちゃうじゃん!!」
が、舞羽と呼ばれたピジョンは咲羽の質問などお構いなしに咲羽を掴んで引っ張って行く。
猫達三人は一瞬呆気に取られていたが、
「行くぞ」
と、クサリの一声が掛けられる。
しかしそれでも一体何のことなのか到底分からない。
「行くって……?」
「ど、どこにですか?」
「あはは、この舞羽ちゃんリリーフのメンバーなんだって!だからこの前のお詫びにお菓子くれるって!!」
そこでアネシアとタンゴが呟き、ラナが何気なく説明を加えてくれた。
私は遠慮したんだが、とクサリがラナを見つつ呟いていたので、勧められたのをラナがあっさり了解したんだろう。
楽しげな声で少女はこう言った。
「ってことだから今から皆でリリーフ基地に行こー♪」
▼14話 騒ぎの始まり
「へぇ……っつーことはこの前ブライちゃんとクビャクが探すっつっとった双子って、あんた等やったんやね」
「そだよ!ウチらこの前サボって遊んでたんじゃんかー。だから会えなかったんだろうけど」
基地の扉に手をかけて、舞羽が面白そうに笑う。
リリーフ基地に来る間この調子だったが、ずいぶん軽いな、というのは周りのほとんどが感付けた。
「違うって。俺は仕方なく付き合ってあげただけだし?舞羽の馬鹿と一緒にしないでくれる?」
で、その軽い姉に何度か呆れている咲羽にも舞羽意外は感付けた。
「ま、気にする事でも無いじゃん?たっだいまー!!」
彼女はそうやって明るく扉を開ける。
外観はそこそこアチーヴの基地と似ているが、中の構造というとやはり違う。
開けてすぐの広めの部屋に、猫たちが見覚えある者の姿が確認できた。
「あ、おかえ、り……舞羽に咲ちゃん……と?」
「あ、ユリウスちゃん……やっけ?」
エーフィ、ユリウスは呟くと顔をのぞかせる。
アチーヴ一行の姿を確認すると、何か納得したように首を傾げた。
「舞羽がさ、この人達にこの前の侘び渡すってうるさいから。別にいいでしょ、ユリウスさん?」
「あ、え……う、うん……どうぞ、あが、って?」
「あはは♪ありがと~!」
ユリウスの勧めに何の躊躇も無くラナが入る。
それにクサリとタンゴが呆れた息をつくのが聞こえる。
「仕方ないです、ラナだから……」
「まあまあ、とりあえず私たちも御邪魔しましょう?ここで立っててもかえって迷惑よ」
アネシアがそう言ってくれて、とりあえずは皆中に入る。
舞羽は既に例のお菓子だったかを取りに行ったようで、この部屋に姿は見えなかった。
「そういえばユリウスさん。ブライさんとクビャク兄さんは?」
今日はあの二人休みだったじゃん?と疑問を投げる咲羽の声が届き振り返ると、言い忘れたとでも言いたそうなユリウスが見える。
「え、えっと……急な、依頼が来て」
「へぇ……お尋ね者?」
「う、ううん!確か……泥棒事件、と……爆発事件……?」
お尋ね者じゃないと分かるなり、なんだ、と興味なさげに咲羽が呟く。
しかしユリウスの言葉はどうも気になるよう。
「泥棒事件に、爆発事件……?」
「な、何なん?その変わった事件?」
「あ、え……その……昨日から、色んなものが盗まれたり、所々で爆発が起きたりしてるみたい、で……」
猫とクサリに質問されて少々戸惑うも、小さな声で一応最後まで呟く。
アチーヴは全員休みだったから知らないだけで、本当は結構な騒ぎになっているのかもしれない。
「あらー……物騒なのね」
「イタズラみたいにも思えますよね、それ」
「何か面白そーだねぇ♪」
「まぁ、面白いって言えばそうかもだけどさ……そのせいでこっちまで巻き込まれるのだけはゴメンだよね」
皆が口々に感想を述べ、咲羽がニッコリとそう言ってのけた。
……同時に。
「あーーーーーッ!?」
別の部屋からそんな、驚いたような大声が発せられる。
一瞬皆――得にユリウスは――びくりと、身を振るわせた。
そしてバタバタとした羽音を立て、舞羽がこちらに戻ってくる。
「あーうるさいなぁ……何なのさ舞羽?クッキー焦がしたくらいで叫ばないでくれる?」
せせら笑うように向けられた咲羽の声をよそに、舞羽は今この中で一番驚いているユリウスに寄る。
「ユリウスずっと留守番してるんだよんね!?泥棒入られてるじゃん!!」
「え、あ、え……ええ!?」
ユリウスが一段と吃驚したよう目を見開く。
それを見て皆、さっきの事件の話を思い出したかのよう。
「そ、それひょっとして例の事件とちゃうん!?」
「……まーまー、皆落ち着こうって?」
そういった猫の目の前に、止めるように白羽毛がかざされる。
平然としている咲羽がくるりと、舞羽に向いて再び、
「舞羽ホントに作ったの?それかクビャク兄さんに渡したりしたんじゃないの?」
「違うって!確かに買い物行く前に焼きあがって、テーブルの上においといたんだって!」
それにクビャクさんには食べないように言っといたし!と言うと、ユリウスがこくんと頷く。
彼女はしばらくはクビャクと一緒にいたので、彼の行動は一応知っているのだ。
「それにキッチンの窓が開いてたし!ウチちゃんとしめたはずだったんだから!」
「……なら、例の事件と考えてもよさそうだな」
自信満々に舞羽が言うのだから、どうやら嘘ではないらしい。
そう思いクサリもぽつりと呟いた。
「そ、それやったら俺らもその事件のこと調べやん?そしたら犯人やってわかるやろうし!」
「それ賛成!!んじゃ行こユリウス、咲羽!!」
猫の提案が聞こえたなり、舞羽はユリウスを強引に掴む。
そのまま咲羽も促したが、彼はそう易々首を縦に振らなかった。
「行くなら二人で行ってよ、俺はこっちの人達についてくからさ♪」
「……え!?」
驚いたのはタンゴだった。
どうも彼は咲羽をよく思っていないようで、あれからまともな会話をしているのを猫は見た覚えがなかった。
「あ、そう!!んじゃ急ぐよユリウス?」
「え、あ、あ……」
急な展開についていけないユリウスを引っ張って、舞羽はバタンと扉を閉めた。
しばし沈黙の後、タンゴが苛立ちつつ尋ねる。
「自分の救助隊の所に行けばいいのに……なんでわざわざオイラ達についてくるんですか?」
「んー?なにさチビ、助けてあげてその態度」
「∑チビ……!!?」
「ガキよりそっちの方が合うよね♪ねーラナちゃん?」
「そーそ!!シロワタニックネームのセンスいいんだぁ♪」
話を急に振られたラナは何を戸惑う事もなく続ける。
シロワタ――つまりは咲羽のことなのだが、彼はやはりニコニコとして、クサリに向き直る。
「クサリさんだっけ?ここのリーダーって?」
「あ、ああ……どうかしたか?」
どうも何もかもが唐突な咲羽なので、クサリのように言葉に惑うのが普通なのだと思う。
探検隊アチーヴねぇ、と呟くと、彼は近くの机にあったペンを器用に右翼に取る。
そうしてそこら辺にあった紙片を拾い上げて、スラスラと何かを書き上げていく。
「どないしたん?てか……何してるん?」
「ん~……さっきのチビの質問に答えてあげようと思ってさ」
チビ、と再びのそれにタンゴが後ろから睨んでいた事を知ってか知らずか、咲羽は急に振り返った。
そうして紙片を皆に向ける。
「まあ、そんなワケだから、俺もアンタ等の仲間に入れてもらうよ。ってことで、宜しく♪」
――居候にも飽きたんで、アチーヴに入るから♪ってことでお世話になりました。 咲羽――
そんな内容が刻まれた紙切れを机に置くと、咲羽はニッコリと怪しい笑みを浮かべた。
そんな声を上げて、ピジョンが咲羽に駆け寄る。
その後ろにクサリとラナが見えた。
ピジョンとその背後の二人を見やり、一番に咲羽は声を出す。
「あ、舞羽。何、俺この人たちが不良に絡まれてたの助けてたんだけど……てか、誰?」
「んなのどうだっていいって!!早くしないとクビャクさんを待たせちゃうじゃん!!」
が、舞羽と呼ばれたピジョンは咲羽の質問などお構いなしに咲羽を掴んで引っ張って行く。
猫達三人は一瞬呆気に取られていたが、
「行くぞ」
と、クサリの一声が掛けられる。
しかしそれでも一体何のことなのか到底分からない。
「行くって……?」
「ど、どこにですか?」
「あはは、この舞羽ちゃんリリーフのメンバーなんだって!だからこの前のお詫びにお菓子くれるって!!」
そこでアネシアとタンゴが呟き、ラナが何気なく説明を加えてくれた。
私は遠慮したんだが、とクサリがラナを見つつ呟いていたので、勧められたのをラナがあっさり了解したんだろう。
楽しげな声で少女はこう言った。
「ってことだから今から皆でリリーフ基地に行こー♪」
▼14話 騒ぎの始まり
「へぇ……っつーことはこの前ブライちゃんとクビャクが探すっつっとった双子って、あんた等やったんやね」
「そだよ!ウチらこの前サボって遊んでたんじゃんかー。だから会えなかったんだろうけど」
基地の扉に手をかけて、舞羽が面白そうに笑う。
リリーフ基地に来る間この調子だったが、ずいぶん軽いな、というのは周りのほとんどが感付けた。
「違うって。俺は仕方なく付き合ってあげただけだし?舞羽の馬鹿と一緒にしないでくれる?」
で、その軽い姉に何度か呆れている咲羽にも舞羽意外は感付けた。
「ま、気にする事でも無いじゃん?たっだいまー!!」
彼女はそうやって明るく扉を開ける。
外観はそこそこアチーヴの基地と似ているが、中の構造というとやはり違う。
開けてすぐの広めの部屋に、猫たちが見覚えある者の姿が確認できた。
「あ、おかえ、り……舞羽に咲ちゃん……と?」
「あ、ユリウスちゃん……やっけ?」
エーフィ、ユリウスは呟くと顔をのぞかせる。
アチーヴ一行の姿を確認すると、何か納得したように首を傾げた。
「舞羽がさ、この人達にこの前の侘び渡すってうるさいから。別にいいでしょ、ユリウスさん?」
「あ、え……う、うん……どうぞ、あが、って?」
「あはは♪ありがと~!」
ユリウスの勧めに何の躊躇も無くラナが入る。
それにクサリとタンゴが呆れた息をつくのが聞こえる。
「仕方ないです、ラナだから……」
「まあまあ、とりあえず私たちも御邪魔しましょう?ここで立っててもかえって迷惑よ」
アネシアがそう言ってくれて、とりあえずは皆中に入る。
舞羽は既に例のお菓子だったかを取りに行ったようで、この部屋に姿は見えなかった。
「そういえばユリウスさん。ブライさんとクビャク兄さんは?」
今日はあの二人休みだったじゃん?と疑問を投げる咲羽の声が届き振り返ると、言い忘れたとでも言いたそうなユリウスが見える。
「え、えっと……急な、依頼が来て」
「へぇ……お尋ね者?」
「う、ううん!確か……泥棒事件、と……爆発事件……?」
お尋ね者じゃないと分かるなり、なんだ、と興味なさげに咲羽が呟く。
しかしユリウスの言葉はどうも気になるよう。
「泥棒事件に、爆発事件……?」
「な、何なん?その変わった事件?」
「あ、え……その……昨日から、色んなものが盗まれたり、所々で爆発が起きたりしてるみたい、で……」
猫とクサリに質問されて少々戸惑うも、小さな声で一応最後まで呟く。
アチーヴは全員休みだったから知らないだけで、本当は結構な騒ぎになっているのかもしれない。
「あらー……物騒なのね」
「イタズラみたいにも思えますよね、それ」
「何か面白そーだねぇ♪」
「まぁ、面白いって言えばそうかもだけどさ……そのせいでこっちまで巻き込まれるのだけはゴメンだよね」
皆が口々に感想を述べ、咲羽がニッコリとそう言ってのけた。
……同時に。
「あーーーーーッ!?」
別の部屋からそんな、驚いたような大声が発せられる。
一瞬皆――得にユリウスは――びくりと、身を振るわせた。
そしてバタバタとした羽音を立て、舞羽がこちらに戻ってくる。
「あーうるさいなぁ……何なのさ舞羽?クッキー焦がしたくらいで叫ばないでくれる?」
せせら笑うように向けられた咲羽の声をよそに、舞羽は今この中で一番驚いているユリウスに寄る。
「ユリウスずっと留守番してるんだよんね!?泥棒入られてるじゃん!!」
「え、あ、え……ええ!?」
ユリウスが一段と吃驚したよう目を見開く。
それを見て皆、さっきの事件の話を思い出したかのよう。
「そ、それひょっとして例の事件とちゃうん!?」
「……まーまー、皆落ち着こうって?」
そういった猫の目の前に、止めるように白羽毛がかざされる。
平然としている咲羽がくるりと、舞羽に向いて再び、
「舞羽ホントに作ったの?それかクビャク兄さんに渡したりしたんじゃないの?」
「違うって!確かに買い物行く前に焼きあがって、テーブルの上においといたんだって!」
それにクビャクさんには食べないように言っといたし!と言うと、ユリウスがこくんと頷く。
彼女はしばらくはクビャクと一緒にいたので、彼の行動は一応知っているのだ。
「それにキッチンの窓が開いてたし!ウチちゃんとしめたはずだったんだから!」
「……なら、例の事件と考えてもよさそうだな」
自信満々に舞羽が言うのだから、どうやら嘘ではないらしい。
そう思いクサリもぽつりと呟いた。
「そ、それやったら俺らもその事件のこと調べやん?そしたら犯人やってわかるやろうし!」
「それ賛成!!んじゃ行こユリウス、咲羽!!」
猫の提案が聞こえたなり、舞羽はユリウスを強引に掴む。
そのまま咲羽も促したが、彼はそう易々首を縦に振らなかった。
「行くなら二人で行ってよ、俺はこっちの人達についてくからさ♪」
「……え!?」
驚いたのはタンゴだった。
どうも彼は咲羽をよく思っていないようで、あれからまともな会話をしているのを猫は見た覚えがなかった。
「あ、そう!!んじゃ急ぐよユリウス?」
「え、あ、あ……」
急な展開についていけないユリウスを引っ張って、舞羽はバタンと扉を閉めた。
しばし沈黙の後、タンゴが苛立ちつつ尋ねる。
「自分の救助隊の所に行けばいいのに……なんでわざわざオイラ達についてくるんですか?」
「んー?なにさチビ、助けてあげてその態度」
「∑チビ……!!?」
「ガキよりそっちの方が合うよね♪ねーラナちゃん?」
「そーそ!!シロワタニックネームのセンスいいんだぁ♪」
話を急に振られたラナは何を戸惑う事もなく続ける。
シロワタ――つまりは咲羽のことなのだが、彼はやはりニコニコとして、クサリに向き直る。
「クサリさんだっけ?ここのリーダーって?」
「あ、ああ……どうかしたか?」
どうも何もかもが唐突な咲羽なので、クサリのように言葉に惑うのが普通なのだと思う。
探検隊アチーヴねぇ、と呟くと、彼は近くの机にあったペンを器用に右翼に取る。
そうしてそこら辺にあった紙片を拾い上げて、スラスラと何かを書き上げていく。
「どないしたん?てか……何してるん?」
「ん~……さっきのチビの質問に答えてあげようと思ってさ」
チビ、と再びのそれにタンゴが後ろから睨んでいた事を知ってか知らずか、咲羽は急に振り返った。
そうして紙片を皆に向ける。
「まあ、そんなワケだから、俺もアンタ等の仲間に入れてもらうよ。ってことで、宜しく♪」
――居候にも飽きたんで、アチーヴに入るから♪ってことでお世話になりました。 咲羽――
そんな内容が刻まれた紙切れを机に置くと、咲羽はニッコリと怪しい笑みを浮かべた。
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