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小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
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(起こった騒動。一行は再び元の場所に戻ってきてしまい――)

「情報集めに来たのはいい……んやけどなぁ」


とりあえず情報集めのためにトレジャータウンに戻ったが、どこからどうすればいいのか分からない。
周りのポケモンたちは皆平和そうで、全くもって事件の事など知っていなさそうだ。

「ダメだなぁ」
「……何がですか?」

咲羽がぼそりと呟いたのをタンゴは逃さない。
聞き取られた事に気がつくと、咲羽は一転したようにニッコリ笑う。

「こういうのはそれっぽい人……それこそ救助隊とか探検隊の奴に聞くのが一番なんだよ」

彼はそう呟くと、きょろきょろと辺りを見渡しながら続ける。

「ここにはギルドもあるんだし、探検隊ならいると思うけど……あ、あの人たちとか良さそうだね」

どうやら誰かを発見したよう。
さっき言った事を実行するようで、皆から離れると群衆を縫って進み、目標の相手のところまで進んでいった。

「……あら、あの子達」
「?……どうかしたか?」
咲羽の進んでいく先に何かを捉えたアネシアの呟きに、クサリが目を細める。
しかしアネシアが見ているものが何なのかは分からない。


「いえ、今日タンゴに木の実を拾ってくれた二人じゃ……」
「え!?アネシアさんどこですか!?」

タンゴが慌てて訊くと、アネシアがそれを指し示した。

皆がそちらを確認する。と……

「あ、ちょっといい?アンタ達探検隊だよね♪」
「?」
「……はい。何のご用件でしょう?」


午後のデンリュウとネオラントに話しかける咲羽が映った。



▼15話 起こった被害



「そうですか……あなた方も探検隊でしたか」
「は、はい!そうなんです」

タンゴがデンリュウに返事する。
咲羽のおかげで話ができたというのに、相変わらずタンゴの咲羽に対する苛立ちは消えようとはしなかった。

「奇遇ですね!僕達もその事について今日は仕事していたんです」
「あ、そうやったん!なら丁度いいわ!」

猫の言葉にデンリュウは何の事かはいまいち分からないようだったが、代わりに隣のネオラントが呟く。

「丁度いい……って?言ってくれねぇと、俺らだってわかんねぇけど?」
「私たちにも情報を分けてほしいんだが……無理だろうか?」

クサリが手短に言うと、二人は顔を合わせ顔をしかめる。
情報を分けることが嫌なのだろうか、とも思ったがそうではないらしい。


「分けるって言ってもなぁ……」
「お分けしたいですけど……このこと言ってもいいんでしょうか……?」
「?~どないしたん?何か理由でもあんのやったら仕方ないし」
猫も怪訝に尋ねるも、彼らは一向に悩んだ素振りを解こうとはしない。出来ない。

「あ、でも口止めすりゃいいか?」
「いえ……口止めしたところで秘密というのはもれるものでしょう」

そんな意味が分からない会話を聞きながら、数刻の時がすぎていく……


――と、そんな時だった。


「ドロボーだぁドロボーだぁ!!誰か捕まえてぇ~!!」


空を震わせる叫びがトレジャータウン中に響く。
辺りは騒然とし、猫達にもそれは確りと届いた。

「あれってカクレオン商店の方ですよね!?」
「そうっぽいね……コレが例の泥棒の犯人の可能性ってあるよね」

咲羽がタンゴに答える。

と、それをよそにネオラントがふっとしまった、とでも言いたげな表情をする。

「やば……すっかり忘れてた!!行くぞシープ!!」
「あ、はい!」

シープ、とよばれたデンリュウはネオラントの後を続いて走り出す。
突然のそれだったが、どうもあの二人は何か知っているよう。

「俺らも追いかけよ!!あの二人絶対何か隠してるで!!」




周りが騒ぎ出したせいで余計時間がかかったが、カクレオン商店の前であの二人を発見する。


「あ、あの……シープさんっ!」

さっきネオラントがそう呼んでいたのを思い出して、おそらくこれが名前だろうと思いタンゴが叫ぶ。
シープはそれに気が付くとこちらを振り向いた。

「あなた方……そんなに急いでどうされたんです?」
「そ、それはこっちが言いたいことですよ……!!どうしたんですかいきなり」

ぜえぜえ息を切らしてタンゴが言い終えると、スッと店の中が指差された。
シープの指の先を辿っていくと、所々商品が抜けたように無くなっているのが分かる。

「被害後、か?」

クサリが呟くと、悲しそうにシープは俯く。
やはり何か知っているようで、猫はいい加減尋ねようと――

「で、アンタ達は何を隠してるのさ?こんなこと起きてるんだし、いい加減言ってくれてもいいんじゃないの?」

猫よりも先、言ってのけたのは咲羽だった。


「……そうですよね、仕方ありません」
彼はそう顔を上げ、さっきから店員のカクレオンに何か聞いているネオラントに視線を向けた。
彼のほうも丁度聞き取りが終わったようで、シープを見てやれやれ、というような表情を向けた。

「技マシンが5枚に鍵一本……白いグミが三つだってよ。間違いなくアイツだぜ?」
「やはりそうですか……」
「俺らが店から目を放した隙にこの有様だぜ?……しゃあねぇ、お前らも手伝えよ」
「ちょ、ちょっと待ち!何のことかさっぱりわからんのやけど……!?」

猫はそう言うが、おそらく他の皆も同じだろう。
彼らは二人だけで話して、途中からこちらに振ってきたのだから。
仕方ないな、といいたげに、ネオラントが口を開く。


「俺らはさ、この店にドロボーウサギが入らないよーに見張ってたっつーわけ。そこにお前らが来て話しているうちに、アイツその隙突いてドロボーしちまったんだよ」
「ですから……その……」

「つまり、私たちのせいで失敗してしまったのね……ならしかたないわよ?」


シープが言いにくそうにしていたのに感付くと、アネシアがそっと助言した。
そうして皆に向き直って、
「手伝ってあげましょう?私たちのせいでもあるのだし、放ってなんておけないわ」
「はいはーい!アタイはそれやるよー♪犯人逮捕でしょっ!面白そーじゃん!!」

ラナがそこに加わって、驚いたようにシープとネオラントが見る。

仕方ないか、と思いつつ、タンゴと咲羽が呆れながら何かぼやく。

「クサリはどうするん?みんなはやる気満々やけど」

答えくらい分かっているが、そう尋ねる。
彼女は溜息一つし、まるで今まで退屈ででもいたかのように一言、

「当たり前だろう?それとも、お前はやらないと言うのか?」

「ははっ、んなワケないさ~。俺はやる気満々やからなぁ!」



そんな乗り気なアチーヴを見て、シープは独り言のように呟く。

「あの……クランプ?僕らの失敗にこの方々を巻き込んでしまっては……」
「えー?まあいいんじゃね?多いほうが手間省けるし」
「け、けれど」

やはり迷惑なのでは、と思っていたシープをよそに、タンゴが寄ってくる。

「あの、そろそろその泥棒について教えてもらってもいいですか?」

怪訝そうに見上げられて、シープはもう諦めたよう。
手伝ってもらうこととし、さっきまで黙っていたことを申し訳なさそうに呟いた。



「その……この事件の犯人……僕らの仲間かもしれないんです……」
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