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小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
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(タンゴと出会った猫とクサリは、共に依頼の地である洞窟に向かい――)

海岸の洞窟に入ってからもう40分は足っただろうか。一応全ての場所を見て回ったが、それらしき人影は見当たらない。
「シャドーボール!」
近くからいきなり飛び出してきたシェルダーを、クサリが鋭い一撃で吹き飛ばす。
吹き飛んだシェルダーはと言うとそのまま岩壁にたたきつけられて気絶。
さっきからこの繰り返しで進んできている。
「す、凄いです!クサリさん!」
「ホントホント、いつも便利やねーその技は。」
クサリの後ろで感心したような顔でタンゴと猫が言う。
「それ程でもない…それよりも例の誘拐犯らしきものは何処にも見当たらないな…」
クサリはそれを軽くあしらい、今回の目的のことを思い辺りを見回す。岩壁に包まれた洞窟は案外広い。ひょっとしたら、入れ違いになったということも考えられる。手分けして探した方がよさそうだ。
「そんじゃ、手分けして探さへん?その方が見つかりそうやし!」
しかしクサリがそう言おうとした手前、同じ事を考えていたんであろう猫が尋ねる。
「それもそうだな…しかし、どのように分かれようか?タンゴを一人で行かせるのは危険ではないか?」
そういってちらと猫の隣にいるタンゴに目をやる。
しっかりとしてはいるが、例の誘拐犯に会ったときに太刀打ちできそうにも無い。また、それはこの御気楽猫にもいえる事だった。
猫なら別に誘拐犯に何のためらいも無くついていっていても可笑しくは無い
それなら、とクサリは一言呟き
「私は一人でそのボスゴドラを探す。お前達は二人で向こうの方を探せ。いいな?」
正直言うと、この二人を組ませてもどこか心配だったが、この方がまだマシだろう。自分は別に一人でもかまわない。
「オッケー♪じゃ、早う見つけよかタンゴ君!」
「は、はい!」
そこから三人は二手に分かれ、犯人捜索を開始した。
×6話 誘拐犯撃破事件
「そういえば」
と、猫が思いついたように声を上げる。
「そういえばタンゴ君の幼馴染ってどんな子なん?」
そうすぐ隣のタンゴに振る。えっとですね、とタンゴが少し首をかしげる。
「まず一言で言うと、すっごく元気がいいんです。いっつもはしゃいでて」
そのまま一息つくと、呆れたように続ける。猫はそれを不思議そうに見つめた。なぜ呆れるのだろう、と。
「だからいっつも笑ってて……何にでも興味持って、すっごく御気楽な子で」
「あー……それで誘拐犯についてっちゃったんやね。」
「はい……オイラが止めたのも全然聞かずに笑いながらついて行きました……」そこでまた、大きなため息をつく。
だいぶその子に振り回されていることが猫にも伺えた。
「あと」
と、タンゴがまた何か言おうとした、丁度その時。
「……あれ?今何か――」
猫の耳に、何かが聞こえる。しかしそれはタンゴには聞こえなかったのだろう、どうかしたのですか、とこちらを見る。

「俺、耳はよう聞こえるんよ。で、今何か、笑い声みたいなのが聞こえた気が……」
耳がよく聞こえるのは元がネコだったからなのか。
とりあえずそれはさて置き、猫のその言葉を聞いてタンゴが目を大きくする。
「わ、笑い声ですか?」
「うん、笑い声……あ。」
笑い、声?
確かその幼馴染はいつも笑っているとか……どうとか。
「ひょっとしてそれって……!?」
「い、急ごか!こっちや!」
二人の脳裏に同じことが浮かんだのだろう、猫がタンゴの前に出て走り出す。タンゴも慌てながらだがそのあとを追う。
「あははは♪ねぇねぇねぇ!アタイにもその奪ったものとか分けてってばー?」
「うるさい黙れって言ってるだろ!?お前のせいで探検隊か何かに見つかったらどうしてくれるんだ!?」
猫が聞いた声の出所であろう、岩と岩に囲まれたような見つけにくい部屋のような場所で、ボスゴドラがツボツボの少女に怒声を投げつける。
「いいじゃん別に?そのときはその時だよ!見つかったらスリリングで楽しそうだし?」
しかしツボツボは全く怯まない。さっきからボスゴドラの頭の上で何度も何度も跳ねている
「ったく……誘拐したってのに持ち物は何にも持ってねえしおまけに何言ってもびびらねえし……!」
そう言って、ブツブツと呟く。と――
「ラ、ラナ!?」
そこに駆けつけたタンゴが驚いたような声を上げる。
「げっ!?見つかったか!」
「んー?あ、タンゴー!ひっさしぶり~♪」
それに驚いたボスゴドラとは対照的に、楽しそうにボスゴドラの頭上で笑いながら手を振るツボツボ。
「な、なにやってんのさラナ!?危ないよそんなの!!」
「そんなこと無いよー?楽しいもん!」
心配するタンゴをよそに、ラナはボスゴドラの頭上で跳ねる跳ねる
「タ、タンゴ君…あのちっちゃいのが、誘拐犯?」
そこに後からやってきた猫がラナを見て恐る恐る尋ねる。
猫にはボスゴドラが何なのかサッパリと分からない。なので自然とツボツボをボスゴドラと勘違いしてしまう。
まあ、普通誘拐犯の頭の上で跳ねてる子供は早々いないだろう
「ち、違いますよっ!!ボスゴドラはあの大きい方!!あっちが誘拐犯です!!」
「ケッ!こんなんで捕まってたまるか!!」
「ふわぁ!!?」
タンゴが大きな声で騒いでいるとボスゴドラ――誘拐犯は頭の上のラナを猫とタンゴとは逆の方に投げ飛ばす。
「ははは!!さっきまで俺の頭の上で騒いでたお返しだ!!」
「ああ!!危ないやないの!!」
満足げに笑うボスゴドラを睨んで猫が叫ぶ。
しかし、今まで一番騒いでいたタンゴは全く動じない。
それに気づいた猫がかなり驚いたようにタンゴの肩を強く揺する。
「タ、タンゴ君!?なんでこんなときに騒がへんの!?友達投げられたんやで!!?」
猫軽くパニック、しかしタンゴは再び深いため息混じりに
「猫さん……オイラさっき言いかけてていえなかった事が一つあるんです……」
そう呟くのとほぼ同じくらい、ラナが壁に打ち付けられ――……と、思いきや
「もー酷いなぁいきなり投げるなんて?吃驚したじゃん!!」
打ち付けられる擦れ擦れ手前、空中でくるりと体制を整えトン、と何事も無く楽しそうに着地。
それを見たボスゴドラは声も出ない、猫はタンゴに何が起こったか説明を求めるような目で見つめる。
「ラナは運動神経すっごくよくって…あんな風に楽しそうに受身取ったりしてて………それからあと」
軽く棒読みになりながら冷ややかな目でラナを見つめるタンゴ
そのラナはといえばそのまま近くにあった直径3mはあるだろう地面から生えている岩に駆け寄り――
メキィッ――岩にピキピキと亀裂が走る。
「じゃあ次アタイが投げるから!!ちゃんと取ってよね?」
ビキッ。鈍く鈍い音とともに岩が地面から離れ、余裕の表情でラナが片手で持ち上げる。片手で、笑いながら
「ちょ、ちょっと待て!?そんなモンなげたら……!?」
「そぉーーーれ!!」
ドゴォオッ!!
ボスゴドラの声は虚しくも巨大な岩とともに消え
「――ものすっごい怪力なんです……」
呆れ顔のタンゴが最後に一言、岩とともに気絶したボスゴドラをみて猫に説明を終えた。
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