小説置き場。更新は凄く気まぐれ。
(依頼を終えた猫。ひとまずこれで安心と思いクサリを待っていましたが――)
「で、これがオイラの幼馴染の――」
「ラナだよ♪ま、よろしくねぇ!」
仰向けに倒れたボスゴドラの上に座ったツボツボ――ラナを指差して、何か疲れきった様にタンゴは呟く。
そのラナはと言うと全く悪びれた様子も見せず……現にこうやってまだボスゴドラの上にニコニコと座っているのだから。
これにはさすがの猫も何もいえない。
「んーっと……俺は猫っつーんよ。仲良くしてやぁ、ラナちゃん♪」
とりあえずは持ち前の気のよさで軽ーく自己紹介しておく。
「うん、仲良くしよーね!ニャンコ!」
「……ニャンコ?」
「うん、ニャンコ。だって見た感じそーじゃん?」
猫が何を言っているか分からない、と言う表情でもしていたのか。それにすぐ気づいたタンゴが、
「あのー……ですね」
気のせいか、まるでラナと会ってから溜息ばかり付いている気がする。その今日で何度目か分からない溜息とともに呆れて言う。
「ラナは誰かに愛称つけるのが趣味で、たぶんその『ニャンコ』っていうのは猫さんの愛称だと思います」
「だってそーじゃん?ニャンコ。一番しっくり来る来るっ!」
少女は楽しげに笑い……これにはさすがの猫も何も言えなかった。
▼7話 事件の終わりへ
「ところで、クサリさんは何処にいるんですかね?」
「あー、それもそやなぁ」
二手に分かれてから大分経っただろうか。クサリも全ての場所を見回り次第来るではあろうが。
「やっぱし集合場所とか決めといた方がよかったかな?」
「ですね……でもこんな小さめの洞窟だからクサリさんもきっとすぐに探索を終えて戻ってくるはずですよ!」
確かにクサリのことならすぐにでも見回りを終えてしまうだろう。とりあえずは下手に動かずにここで待っている方がよさそうだ。
「ね、ね?まだ他に誰かいるの?」
そういえばラナはクサリの事を知らなかったか、と二人の頭に浮かぶ。
ラナは自分が探されていたと言うことでさえ知らなかったのだから仕方もない。
「えっと、この猫さんの所の探検隊のリーダーだよ。グラエナのお姉さん」
「へぇー。ってかニャンコって探検隊だったんだ!」
ラナはタンゴの言葉に耳を傾けながら再びボスゴドラの上で跳ねる跳ねる。
「ラ、ラナさぁ、そろそろそこから降りてもいいんじゃないの?いくら気絶してるからって危ないだろ?」
「えーそんなことないって!タンゴも乗ればいいじゃん♪ほらほら!」
「えぇ!?オイラはやだよ!何でそんなのに乗っからなきゃいけないのさ!?」
しかしタンゴの拒否は虚しくもラナの怪力により無視される
ラナにそのまま引っ張られて無理やりに乗っけられる。
「……大変やね、タンゴ君」
猫でさえ手出しできない。さっきのラナの怪力に逆らおうとするほど彼も馬鹿ではない。まず怖くてできそうもない。
下手に何かやらかして大岩でも投げられたらひとたまりもない
「何か騒がしいな?」
「あ、クサリー」
不意にした声に振り向き、猫は彼女の名を呼ぶ。クサリが戻ってきたのだ。
「お尋ね者ならあのとーりや!ラナちゃんがやっつけたで!」
「あの通り?」
「そや♪今タンゴ君とラナちゃんがのっかっとるやろ?」
気づいていなかったクサリに分かるように、猫は数mほど離れた場所を指差す。
その先をクサリは見――しかし目を見開いて叫ぶ。
「離れろ!お前たち!!」
まだ少しばかり子供気が残る二人に向かって。近くにいた猫がその声に驚く。
「ん?誰…っふわぁ!?」
「うわっ!?な、何ですか!?」
しかし、タンゴとラナが彼女の声を理解するのは遅かった。
一瞬。小さな二人は軽々と摘まれ、まるで今まで寝ていたかのようにゆっくりと、その巨体を起こす
――ボスゴドラ。
「ったく……散々俺の上で騒ぎやがって。もう容赦しねェぞ!?」
ガシッと二人を腕で捕らえて怒声に似たそれを言う。いきなりの事にタンゴは慌てふためくが、ボスゴドラは相当な力を入れてでもしたのか、鋼鉄の腕はピクリとも動かない。
「あーもうッ、だからラナといるといっつも大変な目に遭うんだよっ!!」
「いーじゃん別に♪こんなスリリングな経験滅多にできないしさぁ♪」
挙句人質にとられながらも軽い喧嘩らしい物を始めてしまう始末。
タンゴは呆れに呆れ怒りを顕にしているが、ラナは今までと何一つ変わらない表情で笑っている
「な、なんでや!?アイツはさっきラナちゃんが大きい岩をぶつけてやっつけたはずやのに!!」
確かにあのお尋ねものの倍はあるであろう岩石を喰らって、現にさっきまで倒れていたはず。しかし、その猫の隣でクサリが険しい表情で呟く。
「あんな硬い鎧のような物を身に纏っているんだぞ……それくらいの衝撃、ボスゴドラにとってはなんともないだろう」
確かに、よくよく見てみればお尋ね者にラナが投げ当てた岩の傷らしき物はどれ一つも見当たらない。
現にこうして二人の子供を人質にとって大声を出していたくらいだ。
「おそらく、やられたフリでもしていたんだろうな」
クサリはそう、ふっと小さな吐息を漏らす。
「あまり使いたくはなかったが……仕方ない」
「クサリ?」
一瞬。黒い尾が風に凪がれるようになびいたかと思うと、まるで何かの影のように鋭く形が変形する。
一言で言い表せば漆黒の大鎌。それは彼女の体長よりも大きいもの。
「『ブラックサイズ』……さぁ、その二人を放してもらおうか?」
クサリの意思に従うかのように、黒光りする刃の切っ先がボスゴドラに向けられる。
「へっ、来るなら来いよ!!こいつらがどうなっても知らねェがな!?」
お尋ね者は二人を盾にするように前に突き出して笑う。
しかしクサリはそれをものともせず一歩、岩肌の地を踏み出す。
「え、ちょっと待ち?クサリまさかこのまま斬り付けたりとかせぇへんよな?」
「そうするつもりだが」
「はぁ!?」
驚愕する猫を後目に、彼女は地を蹴る。その一瞬のうちに。
「ああ、言い忘れていたな。」
クサリの思うがままに黒い鎌は彼らに漆黒の刃を振り下ろし――
「この鎌は私が切りたいと思ったもの“だけ”にしか触れることができないからな」
――一閃。彼女の後ろで何かが崩れ倒れる音が響く。
「その二人に危害は出ないから安心しろ」
今度こそ気絶したお尋ねものを見て、クサリは能力の発動を解く。
大鎌は普段通りの黒い尾へと姿を戻す。
ボスゴドラの鋼鉄の鎧には確りと切り傷のようなものが残されていた。
「ふっわぁー!!すっごいねタンゴ!!」
「び、吃驚した……」
「な、何ともないん?アンタら…?」
解放された二人を見、猫が駆け寄る。クサリの鎌はこの二人にも当たっていたはずなのに、何の傷跡も二人からは見当たらない。
「説明が遅れて吃驚させてしまったな…悪かった」
クサリが歩み寄り、二人に小さく頭を下げた。
「い、いえいえいえっ!!確かに吃驚したけれど大丈夫です!」
「そーそー!てかおもしろかったからいいじゃん♪」
タンゴは気にしていないとでも言うように両手を前に出し、ラナに関しては笑顔のまま。
「あの!」
タンゴが猫とクサリに向き直り、改まったように声を掛ける。
「よかったらオイラもあなたたちの探検隊に入ってもいいですか?」
「え?……また何で?」
「だって、カッコいいんですもん!!尊敬できますし、ダメですか?」
パァっと目を輝かせてクサリに向ける。
「あー、コレタンゴの癖なんだ♪すぐに尊敬しちゃうの」
それを横目にボソッとラナが猫に耳打ちしてくる。その言葉と一緒に少女もまた、呟く。
「ってことで、アタイも入れてもらってイイ?ってかいいよね!」
「俺はいいんやけど……」
彼はちらとクサリに視線を送る。タンゴに返事を迫られているクサリはこちらに気づき、分かりにくい溜息を混じらせた。
「……好きにしろ」
こうしてアチーヴに新たな仲間が加わった。
「ラナだよ♪ま、よろしくねぇ!」
仰向けに倒れたボスゴドラの上に座ったツボツボ――ラナを指差して、何か疲れきった様にタンゴは呟く。
そのラナはと言うと全く悪びれた様子も見せず……現にこうやってまだボスゴドラの上にニコニコと座っているのだから。
これにはさすがの猫も何もいえない。
「んーっと……俺は猫っつーんよ。仲良くしてやぁ、ラナちゃん♪」
とりあえずは持ち前の気のよさで軽ーく自己紹介しておく。
「うん、仲良くしよーね!ニャンコ!」
「……ニャンコ?」
「うん、ニャンコ。だって見た感じそーじゃん?」
猫が何を言っているか分からない、と言う表情でもしていたのか。それにすぐ気づいたタンゴが、
「あのー……ですね」
気のせいか、まるでラナと会ってから溜息ばかり付いている気がする。その今日で何度目か分からない溜息とともに呆れて言う。
「ラナは誰かに愛称つけるのが趣味で、たぶんその『ニャンコ』っていうのは猫さんの愛称だと思います」
「だってそーじゃん?ニャンコ。一番しっくり来る来るっ!」
少女は楽しげに笑い……これにはさすがの猫も何も言えなかった。
▼7話 事件の終わりへ
「ところで、クサリさんは何処にいるんですかね?」
「あー、それもそやなぁ」
二手に分かれてから大分経っただろうか。クサリも全ての場所を見回り次第来るではあろうが。
「やっぱし集合場所とか決めといた方がよかったかな?」
「ですね……でもこんな小さめの洞窟だからクサリさんもきっとすぐに探索を終えて戻ってくるはずですよ!」
確かにクサリのことならすぐにでも見回りを終えてしまうだろう。とりあえずは下手に動かずにここで待っている方がよさそうだ。
「ね、ね?まだ他に誰かいるの?」
そういえばラナはクサリの事を知らなかったか、と二人の頭に浮かぶ。
ラナは自分が探されていたと言うことでさえ知らなかったのだから仕方もない。
「えっと、この猫さんの所の探検隊のリーダーだよ。グラエナのお姉さん」
「へぇー。ってかニャンコって探検隊だったんだ!」
ラナはタンゴの言葉に耳を傾けながら再びボスゴドラの上で跳ねる跳ねる。
「ラ、ラナさぁ、そろそろそこから降りてもいいんじゃないの?いくら気絶してるからって危ないだろ?」
「えーそんなことないって!タンゴも乗ればいいじゃん♪ほらほら!」
「えぇ!?オイラはやだよ!何でそんなのに乗っからなきゃいけないのさ!?」
しかしタンゴの拒否は虚しくもラナの怪力により無視される
ラナにそのまま引っ張られて無理やりに乗っけられる。
「……大変やね、タンゴ君」
猫でさえ手出しできない。さっきのラナの怪力に逆らおうとするほど彼も馬鹿ではない。まず怖くてできそうもない。
下手に何かやらかして大岩でも投げられたらひとたまりもない
「何か騒がしいな?」
「あ、クサリー」
不意にした声に振り向き、猫は彼女の名を呼ぶ。クサリが戻ってきたのだ。
「お尋ね者ならあのとーりや!ラナちゃんがやっつけたで!」
「あの通り?」
「そや♪今タンゴ君とラナちゃんがのっかっとるやろ?」
気づいていなかったクサリに分かるように、猫は数mほど離れた場所を指差す。
その先をクサリは見――しかし目を見開いて叫ぶ。
「離れろ!お前たち!!」
まだ少しばかり子供気が残る二人に向かって。近くにいた猫がその声に驚く。
「ん?誰…っふわぁ!?」
「うわっ!?な、何ですか!?」
しかし、タンゴとラナが彼女の声を理解するのは遅かった。
一瞬。小さな二人は軽々と摘まれ、まるで今まで寝ていたかのようにゆっくりと、その巨体を起こす
――ボスゴドラ。
「ったく……散々俺の上で騒ぎやがって。もう容赦しねェぞ!?」
ガシッと二人を腕で捕らえて怒声に似たそれを言う。いきなりの事にタンゴは慌てふためくが、ボスゴドラは相当な力を入れてでもしたのか、鋼鉄の腕はピクリとも動かない。
「あーもうッ、だからラナといるといっつも大変な目に遭うんだよっ!!」
「いーじゃん別に♪こんなスリリングな経験滅多にできないしさぁ♪」
挙句人質にとられながらも軽い喧嘩らしい物を始めてしまう始末。
タンゴは呆れに呆れ怒りを顕にしているが、ラナは今までと何一つ変わらない表情で笑っている
「な、なんでや!?アイツはさっきラナちゃんが大きい岩をぶつけてやっつけたはずやのに!!」
確かにあのお尋ねものの倍はあるであろう岩石を喰らって、現にさっきまで倒れていたはず。しかし、その猫の隣でクサリが険しい表情で呟く。
「あんな硬い鎧のような物を身に纏っているんだぞ……それくらいの衝撃、ボスゴドラにとってはなんともないだろう」
確かに、よくよく見てみればお尋ね者にラナが投げ当てた岩の傷らしき物はどれ一つも見当たらない。
現にこうして二人の子供を人質にとって大声を出していたくらいだ。
「おそらく、やられたフリでもしていたんだろうな」
クサリはそう、ふっと小さな吐息を漏らす。
「あまり使いたくはなかったが……仕方ない」
「クサリ?」
一瞬。黒い尾が風に凪がれるようになびいたかと思うと、まるで何かの影のように鋭く形が変形する。
一言で言い表せば漆黒の大鎌。それは彼女の体長よりも大きいもの。
「『ブラックサイズ』……さぁ、その二人を放してもらおうか?」
クサリの意思に従うかのように、黒光りする刃の切っ先がボスゴドラに向けられる。
「へっ、来るなら来いよ!!こいつらがどうなっても知らねェがな!?」
お尋ね者は二人を盾にするように前に突き出して笑う。
しかしクサリはそれをものともせず一歩、岩肌の地を踏み出す。
「え、ちょっと待ち?クサリまさかこのまま斬り付けたりとかせぇへんよな?」
「そうするつもりだが」
「はぁ!?」
驚愕する猫を後目に、彼女は地を蹴る。その一瞬のうちに。
「ああ、言い忘れていたな。」
クサリの思うがままに黒い鎌は彼らに漆黒の刃を振り下ろし――
「この鎌は私が切りたいと思ったもの“だけ”にしか触れることができないからな」
――一閃。彼女の後ろで何かが崩れ倒れる音が響く。
「その二人に危害は出ないから安心しろ」
今度こそ気絶したお尋ねものを見て、クサリは能力の発動を解く。
大鎌は普段通りの黒い尾へと姿を戻す。
ボスゴドラの鋼鉄の鎧には確りと切り傷のようなものが残されていた。
「ふっわぁー!!すっごいねタンゴ!!」
「び、吃驚した……」
「な、何ともないん?アンタら…?」
解放された二人を見、猫が駆け寄る。クサリの鎌はこの二人にも当たっていたはずなのに、何の傷跡も二人からは見当たらない。
「説明が遅れて吃驚させてしまったな…悪かった」
クサリが歩み寄り、二人に小さく頭を下げた。
「い、いえいえいえっ!!確かに吃驚したけれど大丈夫です!」
「そーそー!てかおもしろかったからいいじゃん♪」
タンゴは気にしていないとでも言うように両手を前に出し、ラナに関しては笑顔のまま。
「あの!」
タンゴが猫とクサリに向き直り、改まったように声を掛ける。
「よかったらオイラもあなたたちの探検隊に入ってもいいですか?」
「え?……また何で?」
「だって、カッコいいんですもん!!尊敬できますし、ダメですか?」
パァっと目を輝かせてクサリに向ける。
「あー、コレタンゴの癖なんだ♪すぐに尊敬しちゃうの」
それを横目にボソッとラナが猫に耳打ちしてくる。その言葉と一緒に少女もまた、呟く。
「ってことで、アタイも入れてもらってイイ?ってかいいよね!」
「俺はいいんやけど……」
彼はちらとクサリに視線を送る。タンゴに返事を迫られているクサリはこちらに気づき、分かりにくい溜息を混じらせた。
「……好きにしろ」
こうしてアチーヴに新たな仲間が加わった。
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